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中越沖地震 [住宅]

先週金曜日に建築士会のボランティアに参加し柏崎市に行って来ました。高速道路を使い向かいましたが柏崎付近へ行くと徐々に工事関係者の車輌が目立ってきます。佐渡島が見える日本海沿いの差しか掛かると高速道路も一部破損し、舗装面が波打っている場所もありました。そのような被害状況を目の当たりにしながら集合場所へ着きました。

新潟県建築士会が住宅相談窓口ということで柏崎市内の各避難所の窓口を設けていてそこに参加しました。私たちの支部から参加の4人を含め、13人が柏崎市西山地区の避難所で相談を受け付けました。その日が仮設住宅の申し込みしめ切りということで建物相談に来る方が仮設住宅に申し込んでいるかを確認することとあり、『地震被害の建物の2次災害防止』を主目的としていました。柏崎市街地からは離れている郊外であるため相談に来られる方に自宅まで連れていっていただき現地で個々の気になる部分を相談させていただきました。地震被害に対するもので公平な客観性を求められるため建物の応急危険度判定と同様に2人一組になって現地でアドバイスさせていただきました。

主には

『現状で住宅住めるか?』

『修理か解体か?』

『修理や解体に関する費用は?』

というのが主要な質問でした。

しかし最後の1点については実際に工事をされる業者ではない私たちが相談を受けているため金額についての詳細についてはお答えしないということになっていました。しかし、その金額のことについて不安に思っていない人はほとんどいないので、『工事金額に関わる話は出来ません』というと煮え切らない顔をされる方がほとんどでした。

 移動していく道沿いにはこのようなテレビで見る光景も多数あり、地震後2週間以上経った今も安全が確保されているとは言い難い光景が広がっています。道路自体の破損は応急処置(亀裂や陥没を砕石で埋める程度)がされていますが倒壊した建物が道路にはみ出ていることも多く古くからの住宅密集地で被害が大きい場所は車輌の通行に支障が場所もありました。

私たちが相談を受け行ったお宅は敷地内に複数建物がある場合が多く、その建物によって破損の程度はばらつきがあります。しかし住めるかという観点で建物を見た場合は目視で傾斜している場合などは

住めません というのがプロが答えるべき内容となるのではないでしょうか。

  

この2棟は同じ敷地内に建っていて建物の本体が基礎から外れている状態です。こうなってしまうとどちらかが安全だから住めるということは言えなくなります。同じ敷地内ですから離れていてもせいぜい5mから10m程度。建物が倒壊して隣の建物の影響してしまう可能性は高いと思いますし、建物周辺に人がいることが人命の危機かもしれません。私たちも調査しながら先日と同じような大きさの地震がきたらどう対処しようかとは心の隅っこに置いてありました。

先だって行われていた応急危険度判定が外観目視を主な調査観点として建物への進入や接近の注意をうながすものであることに対して、今回の相談では建物内部へ入る必要がありました。各々の敷地の地盤状況によりますが、砂地で液状化が起っていたり、地震による断層の通り道などでは遠くでみると外観はほとんど破損していたり傾斜していないのに内部がめちゃめちゃになっていたりということがありました。

  

土壁が剥落し、筋かいの中央部が折れています。この筋かいはその付け根部分も大きく柱や土台から離れていました。

 

地震の力で障子伝わり、障子紙が格子のマスごとに破れています。

内部はこれだけ破損していますがこの住宅も縁側のサッシに入っている窓硝子は割れていませんでした。

 

相談を受けてみて、違う意味で日頃の仕事の姿勢を考えさせられました。

特には住宅をとりまく行政側の対応を待たなければいけない人のいらだちを感じました。今回私たちが金銭面についてあまり触れないようにとされていたのと同様に時間が掛かってあらゆるところをたらい回しにされてやっと自分たちが欲しい、安心できる、少なくとも進展を感じられる情報にたどり着きます。まだ、時間があまりたっていませんからたどり着かないかもしれません。特に中越地震でも被害を受けている方が多く、情報が錯綜していました。私たちが相談を受けるあたっての予備情報として与えられている情報ですら被災した方々に伝わっていないようでした。確かに内容的には不安を煽るようなことも含まれていました。しかし、このように大きな被害が出ていて復旧に向かっていくにつけては『正確な情報』を知っているのは必要不可欠であると思いました。ずっと報道されている原発の事故情報などは隠蔽体質の象徴のようなことです。ある相談者さんが『原発より風上に住めればね。』といっていたのが印象的でした。

 

避難所の状況であったり、このような事態も自分にあてはめて見たりして考えなければならない課題は山積みと感じて帰路につきました。

 

 

 


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コメント 5

たいせい

 私も先週被災地に入り、悲痛な思いを感じました。
 建物被害の印象は、斜面崩壊が同時に発生している傾斜地などの特定地区を除き(ほとんどの家に何らかの被害が出ていました:地盤?)、昭和56値に善の古い建物が選択的に被害が出ている印象でしたが(倒壊家屋の材木にシロアリに食われた跡と見られる構造材を幾つか発見しました)、ヒゲボーズさんは如何に感じられたでしょうか?
 但し、屋根については、モルタルの固着力(接着力?)を期待して緊結せずにただ積み上げただけの「棟」に被害が集中して、被害頭数も多数に上がり業界的には大変辛い場面でもありました。(最近の工法ではまず大丈夫なのですが....。

 近日中に、私の方でも記事にするつもりでいますので、その節にはアドバイスいただけたら嬉しく思います。
by たいせい (2007-08-06 07:57) 

ヒゲボーズ

一緒に行った方々とも構造体については地震の被害を大きくしている要素として、手抜き工事であったり、阪神震災以後の法改正で強化される以前の仕様の施工に問題(耐力的には不十分)があったのではということを同一見解として持っています。つまり一般的に言われている”昭和56年”という目印でかたづけてしまうのはまずいのではと。瓦屋根の住宅にお住まいの方は棟が飛んでしまったのは結構ショックだったようで、鉄板屋根ならば被害が少ないような感想を漏らしていました。相談を受けていた立場のお話として『被害の原因は地震の揺れですが、地盤状況から屋根までトータルで考えて安全を確保すべき』とさせていただきました。柱が折れていて倒壊しているのでなければ、屋根が重いことはあまり大きな原因とは言えないと思います。柱が外れて倒壊しているものも多数見ました。
by ヒゲボーズ (2007-08-06 08:30) 

たいせい

 早速の御返事ありがとうございました。
 私も古い倉庫で、倒壊にまでは至りませんでしたが筋交いが抜けている事例を一件ですが確認しました。
 また、先ほどのコメントでも書かせていただきましたが、シロアリに食われた構造材が見受けられる倒壊家屋も二棟確認しています。
 それらを見て私は、昭和56年以前の建物の中で手抜きや虫害などの問題があった建物が選択的に壊れたと考えていましたが、ヒゲボーズさんが仰っているのは、それ以後-阪神大震災までの物件でも何らかの施工上の問題があった建物は選択的に倒壊しているという認識だと言うことでしょうか?

 なお、今回私も市内のかなり広い範囲を見て回ったつもりではいますが、鈑金やコロニアルの建物はほとんど発見できず(正直言って他の屋根材の場合はどうなのだろうか?との観点で積極的に探しました)、「鈑金屋根なら大丈夫だったかもしれない」との根拠は見つけることが出来ませんでした。(トタン屋根二棟とRC造一棟の倒壊物件は発見しました。:近日中に写真を公開します。)
by たいせい (2007-08-06 12:58) 

アキラ

被災家屋の修復や建て替えについて、どの程度の金額が掛かるかを知ることは、被災者にとって至急かつ切実名問題だろうと思われます。
金額の事はあまり口にするな殿しじがあったようですが、建築士さんと一緒に施工業者も同道して、即座に或る程度の金額の提示ができるようなシステムづくりが待たれますね。
by アキラ (2007-08-07 13:31) 

ヒゲボーズ

アキラ様
 その通りだと思います。日頃、住宅の設計が主である私はお施主さんに対して打ち合わせの最中に金額の話をしないことが希です。そんな訳で、この相談時は相談を受けている方も違和感を感じていました。
正にシステムを作るしか問題を解決出来ないのかもしれません。
by ヒゲボーズ (2007-08-07 21:36) 

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「新潟県中越沖地震」瓦屋根に関する報告(山本大成 「かわら屋の雑記帳」 2007-08-23 17:44)

 今月の初め(8/1~8/2)新潟県中越沖地震の被災地に、所属する愛知県陶器瓦工業組合-技術委員会のメンバーの一人として現地調査に行ってきました。  末尾に収録した技術委員会としての報告書に併せて、私個人としての所感を含む報告を書かせていただきます。(最末尾に愛知県陶器瓦工業組合-技術委…[続く]

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